老人ホームの衛生管理とワックスがけの必要性について

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老人ホームをはじめとする高齢者介護施設において衛生管理は非常に重要な事柄です。

わずかな手抜かりが重大な健康被害をもたらすこともあるので、常に施設内は清潔に保つ必要があります。衛星管理については施設内のワックスがけが重要なポイントであることはあまり知られていません。老人ホームにおける衛生管理の詳細とワックスがけの必要性を詳しく学びましょう。

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老人ホームを常に清潔な状態に保つ理由

老人ホームなど高齢者介護施設は複数の高齢者が共同生活を営む場です。その多くは加齢や病気によって体力が低下しているので、若い人なら何の影響も受けない些細な細菌感染も高齢者にとっては命の危険に至るおそれがあります。

高齢者の体を蝕む細菌はほとんどが汚れに混在していることから、老人ホームなどの施設では常に衛生状態を良好に保つことを重視しているのです。病院と同等かそれ以上の厳しい基準で衛生管理を行っているので、施設内は常に清潔な状態に保たれているのが普通になっています。

衛生管理が行き届いているかどうかで施設の良し悪しが分かると言っても過言ではありません。不潔な状態を放置している施設は高齢者の健康に配慮していないと言えるので利用しないのが賢明です。また、高齢者や施設職員が何らかの病気を患っているにも関わらず、病院への移送や隔離を行わずに他の人と接触させている施設も避けます。

施設内での感染が起こる可能性を予見できない所は衛生管理を軽視していると言わざるを得ません。

速やかな汚物処理は老人ホームの重要な課題

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加齢や病気で体力が低下している高齢者が利用する施設では汚物の迅速な処理が求められています。体が弱っている高齢者にとって、人体に有害な細菌が多く含まれているおう吐物や大小便は非常に危険です。直接触れなくても水滴や蒸気の飛散で感染するおそれがあります。

長く放置するとそれだけ細菌が飛散するリスクも増大するので、汚物を確認したら速やかに取り除かなければいけません。汚物の除去作業も細菌感染の可能性を考慮し、決して素手で行わないように注意します。使い捨ての手袋やマスク、エプロンなどを身に着けて作業に当たることを心がけます。

汚物に含まれている細菌の中には医療用のアルコールが利かない物があるので、より殺菌効果が高い塩素系の薬剤が欠かせません。塩素系の薬剤が無い場合は市販の漂白剤で代用できますが、蒸発した気体を吸い込むと呼吸器を傷めるので慎重な作業が不可欠です。

微量の気体でも高齢者には非常に強い刺激をもたらします。そのため、除去作業の際は高齢者を近づけないようにすることが重要です。

また、床や壁、衣類が色落ちすることもあるのでその点も注意しなければいけません。

床のワックスがけが老人ホームの衛生管理に必須な理由

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汚物の危険性は床や壁に細菌が混ざっている液体が沁み込む点にあります。汚物そのものを取り除いても建材に沁み込んだ細菌までは除去できません。細菌の抵抗力は非常に強く、過酷な環境に放り込まれると頑丈な皮膜を作って冬眠状態に入る物もあります。

そのような細菌がいつまでも建材に沁み込んでいる状態ではいつ感染被害に遭っても不思議ではありません。老人ホームを安全な状態に保つためには細菌が残留できない環境を整えることが重要と言えます。床のワックスがけが衛生管理に効果的とされているのはツヤを出すために作った皮膜が細菌の浸透を防ぐためです。

ワックスがけで生じた皮膜は強い撥水性を持っているので水をこぼしても建材に沁み込みません。汚物が床にこぼれても細菌が混ざっている汚水がワックスに弾かれるので建材が汚染されません。また、ワックスの撥水性は水分を多く含む汚物の効率的な除去を可能にします。

建材に汚水が浸透しないので、一滴も残さずに取り除くことが可能になるのです。殺菌作用を持つ塩素系の薬剤も建材に沁み込まず、ワックスの皮膜を覆うように広がります。そのため、床に散らばった細菌を逃がさずに死滅させることも不可能ではありません。

清潔な環境を保つには丁寧なワックスがけが不可欠

ワックスがけによる皮膜の形成が老人ホームの衛生管理に良い効果をもたらす一方、その皮膜は永続的では無いことを把握しなければいけません。ツヤ出しの効果を持つワックスは簡単には剥がれないようになっていますが、それでも同じ部分に何度も刺激を受け続けるとそこから劣化が進み、遂には皮膜が破れてしまうのです。

一部が破れたワックスの皮膜は傷むのも早く、短期間で床全体の皮膜が剥がれてしまうことも少なくありません。そうなると汚物が床に散らばった際に細菌を含んだ汚水が建材に浸透し、日数を経過してからの感染に至るリスクが飛躍的に増大するのです。

そうならないようにワックスがけはこまめに行い、皮膜が傷まないように注意しなければいけません。ワックスがけは本来、床全体にツヤを持たせるのが目的です。ワックスのツヤは床を覆う皮膜から生まれますが、その皮膜の厚さにムラがあったり、穴ができていると綺麗なツヤにはなりません。

皮膜の厚さを均一に保つことが、床に輝きを持たせ細菌を含んだ汚水の浸透を防ぐのに必須です。

高齢者の安全な生活を守ることを第一に考える

床のワックスがけは皮膜による細菌の浸透を防ぐメリットがあるものの、高齢者が転倒するリスクの増大に繋がるのも無視できない事実です。ワックスの皮膜は凹凸がほとんど無いので光を綺麗に反射してツヤを出しますが、その一方で非常に滑りやすいとも言えます。

足腰のふんばりが利かない高齢者ほど足を滑らせて転んでしまうおそれがあるので、衛生管理に必要であっても施設によっては床のワックスがけができません。老人ホームを利用している高齢者のほとんどは自力で移動できる程度の体力があるので、ワックスの皮膜を踏んでも直ちに転ぶわけではありません。

しかし、加齢などで体力が低下していることから足腰の踏ん張りが利かず、思わぬところで足を滑らせることもあります。高齢者が健やかに暮らせる場であることが老人ホームをはじめとする高齢者介護施設の正しいあり方です。

床へのワックスがけは衛生管理の効率化に役立つのは事実ですが、その一方で足を滑らせるリスクが増える事実も忘れてはいけません。高齢者の健康と安全を第一に考え、転倒事故などのトラブルが起きないように細心の注意を払いながら衛生管理を徹底することが介護施設に求められる姿勢です。